2010年3月1日月曜日

ディレクター、PR2ベータプログラムを語る


米国西海岸時間: March 1, 2010

今年の初め、PR2ベータの無償提供先の募集を開始し、120もの応募意思表明をいただきました。
今日3月1日はいよいよプロジェクトの最終提案書の締切り日です。このプログラムに興味をもってくださったすべての方々、プロジェクト案取りまとめにご尽力くださった方々に、心から感謝いたします。最終提案書を読ませていただくのがとても楽しみです。

上は、PR2、ROS、PR2ベータプログラムについてのビデオです。ぜひごらんください。

(以下はビデオの内容です。)

「PR2ベータプログラムについて」

今やパーソナルコンピュータが、私たちの生活に不可欠なものとなったように、パーソナルロボットにも同じような未来が待っています。まだ先は長いですが、確実に前に進んでいます。

これまでは、移動用の車輪の製作など本来のロボット研究開発以外の部分に多くの時間を費やさなければなりませんでした。PR2+ROSというプラットフォームを提供することによって、研究者はプラットフォームに悩まされることなく開発に専念でき、リソースの共有が効果的に行われるようになります。

PR2ベータプログラムでは約10台のPR2ロボットを、大学、企業、ハッカー(コード開発者)コミュニティなどに無償で提供します。PR2がウィローガレージの外でも使われるようになれば、開発コミュティ全体が育ちますし、お互いに開発の成果を公開し、活用しあうことで、開発が促進されます。

「ソフトウェア開発者のためのロボット」

PR2ROSは、より良い環境でソフトウェア開発を行えるよう、細部にこだわって作られています。例えばロボットの力を最大限に発揮するためのコンピュータ。PR2は最先端の高性能なコンピュータ(8コアi7 Xeonシステム、24GBのRAM、2TBのハードディスク)2基を搭載しています。ログ用ハードディスクは取り外し可能なので、膨大な量のログを迅速に得ることができます。またPR2は開発用プラットフォームですので、堅牢性を重視しています。

「ロボットを使って開発する」

ソフトウエア開発者は、ロボットを使って実験する必要があります。失敗をおそれず開発できるというのはイノベーションにとって非常に重要なことです。
PR2がドアを開ける実験に使ったドアは、ペンキがはがれたり、ひっかき傷などが残っています。
何度も失敗するのは当たり前です。ロボットにもドアにもダメージがあることはわかっていますが、失敗しても繰り返し実験できるというのは開発には必要なことです。そのためにPR2があるのです。


「すぐに開発にとりかかれる」

ROSはソフトウェア開発プラットフォームです。たくさんのライブラリ、ツールがあり、最初から高レベルの開発が可能です。低レベルのハードウェアドライバに関するライブラリから始めて、ナビゲーション、二次元、三次元認識と進めていくこともできます。また開発ツールセットを使うと、データロギング、プレイバック、キャリブレーションや他の研究所とのコードシェアなどができます。
ライブラリもツールもオープンソースなので、自由に使用でき、必要にあわせて新しい機能の開発、成果の共有が簡単にできます。

「ROSでロボットを動かす」

ROSが素晴らしいのは、誰もが使える、ということです。ベータプログラムの参加者でなくても、ROSを使って開発したり、あなたのロボットを動かすことができます。
すでに10数か所の企業や大学の研究機関がオープンソースコードをROSでリリースしています。ROS開発コミュニティはほんとにすごい。PR2ベータプログラムでどんなことが行われていくのか非常にわくわくしています。
多くの開発者が、ロボットをROSで動かしてみて、その開発環境やツールがいいので、とても喜んでくれています。ROSコミュニティに開発者が集うことで、同じ研究を重複して行うような無駄を省き、他の開発者の成果を生かして自分のやりたい開発を行えるので、ロボットの研究開発は飛躍的に進歩していきます。より迅速に、より効率的に、そして、どんな研究機関や個人が単独で行うよりも、大きな成果をももたらすことができるでしょう。