2010年5月28日金曜日

PR2ロボットが卒業 11研究機関へ旅立つ

Formation
Dance Introducing the PR2s Keenan Wyrobek and Eric Berger Scott Hassan, Founder Party Steve Cousins, CEO

米国西海岸時間 May 28, 2010

水曜日の夜、パーティとロボットのお披露目によってPR2プログラムの公式なキックオフが行われました。300人以上のゲストがウィローガレージに集まり、そこで11台のベータロボットが紹介されました。ウィローガレージのファウンダーであるスコット・ハッサンは、ロボットを工場から私たちの日常生活に連れてくることで生産性が向上するという彼のビジョンについて語りました。パーソナルロボットプログラムのディレクターであるキーナン・ワイロベクとエリック・バーガーは、プラットフォームであるPR2(ハードウェア)とROS(ソフトウェア)の概要を説明。中でもROSの採用がロボットコミュニティで急速に増えていることを私たちがいかに喜んでいるかについて話しました。

ロボットのお披露目の後、PR2の提供を受ける研究機関が紹介され、デモ、記念撮影、人とロボットのダンス、と続いていきました。

パーティのビデオは来週アップしますので、お楽しみに!

パーティの写真はこちら

下は紹介記事の一部です。

* CNET: Willow Garage rolls out PR2 robots
* Economist: Tech.view: A robot in every home: Helping hands
* SFGate: Pomp and Circuitry: Willow Garage's robot graduation
* Botjunkie: Willow Garage PR2 Graduation Party
* IEEE Spectrum: Willow Garage's PR2 Robots Graduate, How I Became a Texai Robot and Went Partying
* Singularity Hub: Up Close and Personal With Willow Garage’s PR2, Willow Garage’s PR2 Robots Dance
* Wired Gadget Lab: Willow Garage Holds a 'Graduation Party' for Its Robots

原文

日本語の紹介記事

ビデオ約45万ビュー!ROSを使ったロボット: クワッドローター(ペンシルベニア大学)

米国西海岸時間 May 28, 2010

ROSが空を飛んだ! ペンシルベニア大学GRASP研究室のクワッドローターが、狭い窓をすり抜けたり、垂直着陸したりというあらゆる種類の”アグレッシブ”なアクロバット飛行を披露するこのビデオはインターネットでまたたく間に広まりました(訳者注: 5月31日現在で約45万ビュー)。システム全体でモジュラー化、通信、低位のマイクロコントローラー用コードに高位のROSをミックスさせたものを使用しています。

このプロジェクトの目標は、クワッドローターにアグレッシブな軌道を正確に飛行させるというものでした。システムの基本コンポーネントは、クワッドローターと制御用ラップトップ、Viconのモーションキャプチャーシステムです。搭載されたマイクロコントローラーは1 kHzで姿勢ループ制御を行っています。制御用ラップトップはより高レベルの位置ループ制御を行います。制御用コンピューターはXBeeのリンクを介してクワッドローターと通信します。

制御コンピュータ上での異なるプログラム間の通信はROSを通じて行われます。モーション・キャプチャーのノードはposeメッセージを中央コントローラーに送り、そこでクワッドローターにコマンドを送るコードに順番に制御メッセージをアウトプットします。実験は、クワッドローター実機の動きの非常に正確なディスクリプションを含むクワッドローターのモデルを使い、三次元シミュレーターで行われました。このシミュレーターはハードウェアと同じような方法でROSを通じて通信し、シミュレーション上の実験とクワッドローター実機との切り替えを最小限のオーバーヘッドで可能にします。ROSによって個々の問題を全体から独立させ、コードをモジュラー化したりプログラムを書くことが容易になりました。


この記事に関してペンシルベニア大学のDaniel Mellingerに協力いただいたことを感謝します。

2010年5月27日木曜日

史上初 ロボットの卒業式(ビデオと写真)

PR2の卒業パーティの様子を伝えるDown the Avenueのブログを筆者の許可を得て日本語訳しました。

5月26日、ウィローガレージは歴史上初めてのロボットの卒業式を行った。会場となったのはGoogleが誕生したのと同じカリフォルニア州メンロパーク市、ウィロー通りにある同社オフィスだ。

CEOスティーブ・カズンズとファウンダー、スコット・ハッサンは、ウィローガレージの生い立ち、そのビジョン、そしてこの歴史的な瞬間に至るまでの全てについて胸に迫るスピーチを行った。

数百人のゲストがお祝いに駆けつけた。友人、ファン、社員、地元の市長達、記者、ブロガー、そして大学から。PR2ベータプログラムで選出され、ロボットの無償提供を受ける11大学(訳者注: うち1つは企業の研究所)からの出席者の姿もあった。彼らはPR2のトレーニングとその栄誉を祝うために世界中から集まっていた。



PR2を提供される研究者達は、ウィローガレージのビジョナリー(先覚者)達と、パーソナル・ロボット・プログラムのディレクターであるキーナン・ワイロベクとエリック・バーガーとともに、これから2年間ロボットの研究開発を加速させ、世界を変えるために懸命に取り組んでいくことになる。

下のビデオでは、キーナンとエリックがオープンソース・コミュニティ、選出された大学、ウィローガレージの社員、そしてもちろんPR2ロボット達への感謝を伝えている。PR2ベータプログラムの選考結果が発表されると、PR2はさあお祝いだと言わんばかりに、会場にあふれる人達に向かって小さな旗を振りダンスした。皆の反応からPR2は自分にはファンがいるんだ、とわかったと思う。



それからPR2は会場の人達とダンスしたり、自分の能力を見てもらおうとフロアを元気よく動き回っていた。このパーティはまさしくこんなに素晴らしいことを成し遂げたコミュニティへのお祝いと感謝のためだった。それは、スコットがイベントの最初に言った言葉「自分たちではできないし、自分たちだけでしたくもない」の通りだった。ロボットを陰で支えるさらなる努力、リソース、情熱、そして才能によって、より早く目標が達成されるのだ。



イベント、スピーチ、パーティ、ロボットのダンスの写真やビデオを下に載せた。これから2年間魔法のようにわくわくすることを創出していくROSとウィローガレージのチーム、11研究機関のみなさんの健闘を祈りたい。

ブロガーや記者の前でPR2のデモを行うエリック・バーガー

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エリック・バーガー、スコット・ハッサン、スティーブ・カズンズ、キーナン・ワイロベク

L TO R - Eric Berger Scott Hassan Steve Cousins and Keenan Wryobek

Singularity HubのKeith KleinerとAaron Saenz

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Googleの社員や友人達も祝福に駆けつけた

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テキサイロボットで参加したJohn Markoff

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スコット・ハッサン

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スティーブ・カズンズ

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史上初、PR2ロボットの卒業式

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スティーブ・カズンズとスコット・ハッサン

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写真クレジット: Steve Brehaut

拍手するPR2

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キーナン・ワイロベク

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写真クレジット: Steve Brehaut

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Jonathan KnowlesとRenee Blodgett

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写真クレジット: Steve Brehaut

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写真クレジット: Steve Brehaut

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Kamal ShahとJanet Rae Dupree

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2010年5月26日水曜日

11研究機関集結、PR2 ワークショップ開催中!

PR2 Beta Workshop

PR2 Beta Workshop PR2 Beta Workshop PR2 Beta Workshop PR2 Beta Workshop PR2 Beta Workshop

米国西海岸時間 May 26, 2010

PR2ベータプログラムのワークショップが月曜日に始まりました。11研究機関からの代表がここウィローガレージに集まり、ROSと彼らが無償提供を受ける完成したばかりのPR2についてトレーニングを受けています。お互いに交流を深め、研究の計画について情報交換したりして、素晴らしい時間を過ごしています。ワークショップの写真はこちらです。

原文

2010年5月21日金曜日

事業家から高評価 - テレプレゼンス・ロボット

ロボットの事業化や科学技術発展への一助として、
3つめ+速報のニュースをご報告します。

先週末、サンフランシスコ・ルーカスフィルムアーツセンターで行われた
X PRIZE財団(*)の寄付金を集めるチャリティ・イベントで、
主催者のサーゲイ・ブリン氏(グーグル創業者)が、
ユタ州の休養先から、弊社のテレプレゼンスロボット「テキサイ」で登場し、
参加者の注目を浴びました。

イベントの参加者の1人、Keith Kleiner氏
(NASA Ames研究所にできたSingularity大学の共同創立者)が、
ロボットの事業化に関する興味深い考察を書かれていましたので、
日本語版を作成しました。

また、高齢者向けのロボットの可能性という意味で、
CADソフトで有名なAUTODESK社(時価総額70億ドル)
CTO(最高技術責任者)の上級顧問を務めておられる
Jonathan Knowles氏のすばらしい笑顔
(上から3つめのビデオ)をぜひご覧ください。

速報ニュースですが、
マイクロソフト社のマイクロソフト・ロボティクス・スタジオが、
無料になるという記事が、本日、IEEE Spectrumに掲載されました。
特に、今年のクリスマス商戦に投入されるゲーム機XBOX向けの
Project Natal(画像モーション・トラッキングによるコントロール)
との連携が語られていて、HRIやイメージ研究関連の広がりが
生まれてくることを期待しています。

Project Natalのすごく楽しい紹介ビデオです。


(*)X PRIZE財団について
1927年のリンドバーグの大西洋横断飛行の懸賞金25000ドルが、
現在の約30兆円の航空産業を生み出したことに触発され、
1996年、大気圏旅行の実現に向けた1千万ドルの懸賞金(Ansari X PRIZE)
が発表されました。7ヶ国26チームが、総計1億ドルの資金を投じ、
2004年の課題達成により、新しい産業の創造、規制改革、
宇宙は政府のものという固定観念の打破などに貢献しました。
その後の4年間に、個人宇宙旅行実現のため、
約10億ドルの投資が行われました。
http://bit.ly/X_PRIZE_Video (紹介ビデオ2分)

サーゲイ・ブリン氏のスピーチより

  • アイデアや夢の実現を加速
  • スポーツイベントや自動車レースへの広告費用と同じぐらいの懸賞金(3千万ドル)で、社内のエグゼキュティブが無理と思うような課題(Google Lunar X Prize - ロボットを月に送り、500メートル動かし、ビデオ映像を地球に送る)を競い合う。課題の実現については楽観しています。

  • 過去50年間の宇宙研究プログラムは、少々がっかりしています。1961年から8年間で、人を月に送り無事帰還させることができました。今、同じように、月に人を送ろうとすると、インフレや行政の壁があり、15〜20年間はかかるそうです。

  • 冷戦構造に支えられた政府主導の大型プロジェクトは、宇宙関連研究のイノベーションに直接的なサポートをできないようです。DARPAの無人自動車レースのように、NASAも同じような懸賞プロジェクトを行っていて、嬉しく思います。起業家精神に富んだ人たちによる小規模なプロジェクトが、科学技術のフロンティアを、より遠くにより早く広げていくことを確信しています。

  • 多くの小さなチームによる協力が、大きな成果を生み出しそうです。例えば、あるチームは、すべてを小さく作ることに長けており、携帯電話サイズのロボットを月に送りたいと願っています。この私の持っている携帯電話の情報処理能力は、私たちがグーグルを始めた時のサーバーの能力をはるかに超えています。この10年の著しい技術進歩のトレンドをふりかえれば、賢い人たちが、今後10年〜30年の間に、技術革新を早く先取りし、さまざまな課題を新しく違う形で、あるいはすごく安いコストで克服していくことと信じています。これが、私の中でのX PRIZE財団のシンボルになっています。
  • 将来、月からのテレプレゼンスで、このようなパーティに参加したいですね。
  • 100年間の歴史を持つ自動車産業のブレークスルーへのスポンサーを探していたところ、Dean Kamen (セグウェイの開発者)から紹介を受け、Progressive保険のCEOを紹介していただいた。
    1千万ドルの懸賞金をめぐり、136のチームがクリーンかつ商用可能な省エネ車(100MPG = リッター42.5キロ)を開発し、この夏3チームから優勝チームが発表される予定です。(Dr. Peter Diamandis、X PRIZE財団CEO)

今回のチャリティ・イベント"A Radical Benefit for Humanity"について

  • 参加費が、約10万円から500万円のパーティ
  • 主催者は、サーゲイ・ブリン(グーグル創業者)夫妻
    ジェームズ・キャメロン(映画アバター監督兼プロデューサー)夫妻
    ピーター・ディアマンテス(X PRIZE財団創立者)夫妻
    ラリー・ペイジ(グーグル創業者)夫妻
    そのほか、シリコンバレーを中心にした著名な事業家やベンチャーキャピタリスト、政治家など約50名が開催委員を務めています。

  • パーティ中のオークションによっても資金を集めています。
    Virgin Galacticによる宇宙旅行
    深海サファリ
    Teslaロードスター
    病気予防のための遺伝子解析 など
    http://bit.ly/X_PRIZE_BenefitForHumanity

***

税制が違うとはいえ、事業家から資金を集め、
夢のような課題に挑戦するチャンスを与えてくれる
X PRIZE財団の取り組みは、科学技術発展の歴史に
大きな足跡を残すことは間違いないでしょう。
ひとつの実績例として参考にすることは、
非常に有用であると信じています。

RTミドルウェアとROSの統合、ROS利用例の詳細紹介サイト

産総研のGeoffrey Biggsさんの多大かつ献身的な貢献により、
RTミドルウェアとROSのユーザーが、つながりやすくなりました。
パッチやサンプルを含む詳細は、以下をご参照ください。
  http://bit.ly/RTMiddleware_ROS

今までの研究や双方のよき点を生かしながら、
研究オプションの広がりや開発成果の共有が、
さらに進んでいくことを楽しみに思います。


また、ROSを使った研究成果の詳細説明
(論文、結果、ビデオ、オープンソース・コードの使い方)
がWikiに掲載されましたので、ご案内申し上げます。

  http://bit.ly/ROSPaperShare  (和文記事)
  http://bit.ly/ROSPaper (和文Wiki)

  1. ICAPS2010_Wolfe
     移動マニピュレーションのためのタスク計画とモーション計画の結合

  2. ICAR2009_Rusu
     ドアとドア・ハンドル識別のためのレーザーを用いた認識

  3. ICRA2010_Chitta_Cohen_Likhachev
     移動マニピュレータによる自律的ドアあけのプランニング

  4. ICRA2010_Chitta_Piccoli_Juergen
     触覚による物体クラスと物体内状態の認識

  5. ICRA2010_Cohen_Chitta_Likhachev
     モーション・プリミティブを用いたマニピュレーションのためのサーチベースの計画

  6. ICRA2010_Marder-Eppstein
     自律マラソン ー 屋内オフィス環境下のロバストなナビゲーション

  7. ICRA2010_Meeussen_Wise
     パーソナル・ロボットによるドアあけと電源プラグの差し込み

  8. ICRA2010_Sucan_Kalakrishnan_Chitta
     実時間認識を用いたマニピュレーションのためのプランニング技法の結合

論文募集 IROS 2010 セマンティックマッピングと自律的知識獲得

米国西海岸時間 May 21, 2010

論文募集  IROS 2010 ワークショップ ”セマンティックマッピングと自律的知識獲得”

Dirk Holz(独 ボン大学)、Tom Duckett(リンカーン大学)とウィローガレージのRadu Bogdan Rusuが台北で行われるIROSのワークショップ ”セマンティックマッピングと自律的知識獲得” をオーガナイズしています。本ワークショップはコンピュータ・ビジョン、認知ロボット工学、三次元マッピング、移動マニピュレーション、機械学習、知識表現、探索、意思決定などの研究者を対象に行われるものです。 コミュニティのみなさん、ぜひセマンティックマッピングと自律的知識獲得のための新しい手法に関する最新の研究論文をお寄せください。より詳しくは、ワークショップのウェブサイトをご参照ください。中間結果、特に説得力のあるビデオやライブデモを伴ったものを歓迎します。

論文を提出するしないに関わらず、ぜひワークショップにご参加ください。 論文提出期限は、2010年7月1日です。ワークショップのウェブサイトで詳細をご確認ください。

重要な日程

  • 論文提出期限: 2010年7月1日
  • 論文採択通知: 2010年7月23日
  • 最終論文提出期限: 2010年8月6日
  • IROSにおけるワークショップ: 2010年10月18日

原文

2010年5月20日木曜日

PR2ベータ1台目をスタンフォード大に発送

PR2 at Stanford PR2 at Stanford-2 PR2 at Stanford-4 PR2 at Stanford-5 PR2 at Stanford-6 PR2 at Stanford-7 PR2 at Stanford-8

米国西海岸時間 May 20, 2010

1台目PR2ベータプログラムロボットが正式にウィローガレージから出荷され、無事にスタンフォード大学に到着しました。PR2ベータプログラムが進み始めたことに私たちはわくわくしています。来週には、このプログラムに参加する11研究機関からの代表者が集合し、ROSとPR2のワークショップが開催されます。残りの10台のロボットは約3週間以内に発送する予定です。この最初の短距離の輸送(訳注: ウィローガレージとスタンフォード大の距離は約5km)は、他のPR2を彼らの新しい家に届ける次の輸送のための予行演習になりました。私たちはスタンフォードの人たちが無事故のうちに、受け取った荷物を開け、木枠からロボットを取り出す様子を興奮しながら見ていました。さらに嬉しかったことは、研究室に到着してほんの数時間のうちに、PR2が物体認識のタスクのためのデータを取得しているのを見られたことです。

PR(パーソナルロボット)はもともとKen Salisbury教授の研究室で始まったプロジェクトです。PR1をひっぱりだして、その子孫とともに写真に収まってもらうのは、とてもふさわしいことです。Eddie Salisbury、素晴らしい写真をありがとう。PR2が新しい家に落ち着くことができて心から喜んでいます。

この他の写真はPR2がスタンフォードに到着で。

原文

2010年5月18日火曜日

Google I/O 2010にPR2が参加します

米国西海岸時間 May 18, 2010

Google I/O 2010が5月19から、サンフランシスコのMoscone Centerで開催されます。Google I/Oは、グーグルの新しい技術や機能に関する開発者向けのカンファレンスで、2日間に渡り数千人の開発者が集います。グーグルは今年のカンファレンスで、未来的なテクノロジー、ロボット、三次元のビジュアライゼーション(可視化)とシミュレーション、その他の革新的なガジェットを集めたGadgetFestというインタラクティブなプレイグラウンド(遊び場)を紹介することになっています。After Hours Evening Eventの一環として、ウィローガレージはPR2を連れてGadgetFestを歩き回ります。興味がある人は、つかまえて話しかけてくださいね。

Google I/Oについてはこちらをチェックしてください。

原文

グーグル創業者サーゲイ・ブリンがテキサイでX PRIZEに登場

先週末のX PRIZE イベントに、Googleのサーゲイ・ブリンらがウィローガレージのテキサイを使って参加しました。ウィローガレージのブログ(英語)でも、サーゲイがテキサイを使ってキーノート・スピーチを行ったビデオ(本ページ下のビデオと同じ)が紹介されています。他にもいくつかのブログやビデオで話題になっていますが、ここではSingularityhubの記事をご紹介します。

トニー・ロビンスとサーゲイ・ブリンがロボットになった – テレプレゼンス革命

先週末、サンフランシスコで開催されたX PRIZEの資金調達イベントに参加したのですが、そこでセルフヘルプ(自己啓発)のグル、トニー・ロビンス(訳注: アントニー・ロビンス 成功メソッドのコーチングで有名)とGoogleの共同創業者サーゲイ・ブリンに会いました。でもそれは、普通の形で、じゃなかったんです。二人ともイベント会場には来られなかったのですが、トニーもサーゲイもウィローガレージの素晴らしいテレプレゼンスロボット、テキサイをリモート操作して、他の参加者と同じように会場を歩き回り、話しをしてたんです。もしあなたが私と似たタイプであれば、テレプレゼンスロボットというアイディアに少し懐疑心を持っているかもしれません。アイディアの目新しさやかっこよさに惹かれる時期が過ぎた時、テレプレゼンスロボットはニッチな役割を超えて、本当に社会に存在価値があるのか、ということに疑問があるのです。

テレプレゼンスロボットで華麗に振る舞うサーゲイやトニーを目のあたりにした後の私は、テレプレゼンス革命を信じる人間に変わったと思ってください。私を含めイベントに参加した人々はあっという間にそのロボット(テキサイ)に魅了され、彼らと話すのが大好きになりました。その夜、私はアルゼンチン、ワシントンDC、カナダの人たちと話しましたが、それは全員テレプレゼンスロボットを通じてだったんです。私たちの生活はテクノロジーによって支えられていますが、テレプレゼンスロボットという素晴らしいものも、新たに加わりそうです。下のビデオは、短いですが私がトニーと話している様子です。


人間は社会的生き物です。X PRIZEイベントにいたテレプレゼンスロボットは、ある意味においてこの人間の特性をしっかり理解していることに驚きました。もし、トニー・ロビンスが壇上に掛けられたテレビに映し出されるという普通のビデオカンファレンスの形でX PRIZEに登場していたら、同じような体験はできませんでした。彼は、会場をあちこち歩き回って、いろんな人を探したり(あるいは人から逃げたり)できません。話が終わってもそこから立ち去ることもできないし、彼の背後にいる人や物を見ることもできません。

現時点では、テキサイロボットは、人間との社会的なやりとりをロバストに行えるような腕も手も持っていません。もしいつか腕がついたら、このロボットの将来性はさらに高まるでしょう。

テレプレゼンスロボットの魅力的な側面の一つは、彼らがそのイベントの間中、いろんな違う人になったということです。X PRIZEイベントの会場には3台のテキサイロボットがいて、それぞれのロボットが世界中からの数名の興味深い人たちに変身したのです。下はサーゲイ・ブリンがテレプレゼンスで登場した時のビデオです。

テレプレゼンスロボットを介してイベントに参加するのは、いくつかの点において、実際に参加するより優れた部分があるのかもしれません。一つには着飾る必要がありません。ロボットでなら、フォーマルなイベントに下着姿で参加してもわかりません。また、数千マイル離れた場所のイベントに出かけている間、子どもを寝かしつけたり、家に来た人に応対したりするのに困りますよね。それももう心配ありません。テレプレゼンスロボットを事前に予約して準備しておけば、条件さえ合えば、複数のイベントに同時に参加することもできます。テレプレゼンスロボットは、将来パーティやカンファレンスなどのイベントで貸し出すことができるようになるでしょうか?これって、面白いビジネスアイディアですよね?

私は、テレプレゼンスロボットのユートピアに夢中になっているだけなのかもしれないし、テレプレゼンスロボットがすべて期待できるものとは限りません。例えば、彼らは段差があるところをうまく移動することができないし、テレプレゼンスで参加するのは当然実際にそこにいるのとは同じではありません。それでも、私にとってテレプレゼンスはクールだという事実は変わりません。この先10年で、人々が集まる場においてその存在を確立していくと思います。 もしそうであれば、その時、私はテレプレゼンスロボットの中にいると思います。

原文(2010年5月18日 Keith Kleiner)

OpenRTM-aistとROSが統合!

米国西海岸時間 May 18, 2010

Geoffrey BiggsAIST 産総研)は、ROSをシームレスにOpenRTM-aistに統合するパッチをリリースしました。これにより、OpenRTM-aistのユーザーはパッチをダウンロードして、ROSトランスポートを追加できるようになりました。以下はGeoffrey Biggsからの投稿です。

これは、すべての人の意見ではないのですが、ここ日本では長い間OpenRTM-aistとROSをつなげて一緒に使えたらいいのに、という要望がささやかれていました。このパッチのリリースによって、OpenRTM-aistの強力なライフサイクル管理と実行管理を維持しながら、ROSの幅広い機能とチャネル・ベースの永続通信がOpenRTM-aistに加わります。

OpenRTM-aist用のパッチのダウンロードはこちらからできます。

このパッチは、OpenRTM-aistに複数のROSチャネルにまたがって通信を特定して行える新しいトランスポートタイプを加えます。永続性のあるチャネルを使って通信を行える能力がいかに有用であるかを、いずれ誰かが見つけることは疑う余地もありません。もっとも重要なメリットは、OpenRTM-aist用コンポーネントとROS用ノード間の通信がほぼシームレスにできることなのです。ネットワーク上に分散したコンポーネントもノードも、一つのフレームだけに留まらなくてもよくなるのです

ラッパーは全く使われていません。すべての通信は、ROSのネィティブな形式ですので、ROSだけを使うときと同じようにROSライブラリを使えます。変換レイヤーがないということは、接続効率の最大化を意味します。必要なのは、ROSトランスポートのためにポートタイプを作成することだけです。すでにROSをわかっている人には、ポートを使うのは簡単なことだと思います。

一つ注意点があります。私が「ほぼシームレスに」と言った理由でもあるのですが、まだタイプの統合セットが定まっていないのです(OpenRTM-aistのタイプシステムについて解決しなければならない課題がいくつかあり、現在取り組んでいます)。このタイプについての課題は、現在、フレームワーク・デザイナーの間で熱心に議論されているトピックですので、近い将来に解決されることと思います。:)

下にOpenRTM-aist-1.0.0用のパッチと各ポートタイプ(パブリッシャー/サブスクライバー/クライアント/サーバー)のサンプルを下のリンクからダウンロードできるようにしました。これからもっと詳しい使用方法を書いたウェブページをOpenRTM-aistのウェブサイトに作りたいと思っています。それまではROS.orgのexamplesとソースの中にあるdoxygenのコメントが助けになると思います。とてもシンプルにできています。

ぜひ、ご意見やご提案、改良成果などをお寄せください。

  • パッチのダウンロードはこちら
  • 各ポートタイプのサンプルのダウンロードはこちら

原文

2010年5月17日月曜日

ROS関連の論文を共有しよう

米国西海岸時間 May 17, 2010

ROSに関連した論文がある研究者のみなさん、ROS.orgであなたの研究を公開しませんか?このROS論文共有ページの第一の目的は、論文を読んだ人が、中に出てくるROSのコードを簡単に試せるようにすることです。コードにアクセスしやすくなることでそれを読む人が研究成果の再現や検証をしやすくなりますし、より多くの人があなたの研究を実践した上で理解してくれるようになります。このページはすでにいろんな種類のROS関連論文が、論文全文と関連コードやドキュメントへのリンクとともに公開されています。そのうちのいくつかは、論文に関するビデオや研究成果を再現するための説明も含まれています。

ぜひあなたの論文をROS.orgにアップしてください!詳しくはこちら

原文

2010年5月12日水曜日

物体の三次元モデリング

米国西海岸時間 May 12, 2010

リサーチエンジニアRomain Thibauxは最近PR2に事前知識のない物体の形状を教える研究を行いました。ロボットは、そのステレオカメラを使って物体の三次元画像を取得することができます。しかし、一つの視点からはその物体のほとんどの部分は見ることができません。Romainの研究は異なる角度からの多くの視覚情報を元にして、完全な三次元モデルを生成することです。この研究では、その空間がある物体の部位を実際に含んでいるかいないかを示す証拠がどれだけ存在するかを計算し、その確率を利用します。これらの確率は、熱伝導方程式を使って、見えていない部分にまで広がります。フライパンを通して熱が拡散していくのと同様に、確率が空間を通して拡散していくのです。つまり、熱い部分は確率が高い部位であり、熱い部位と冷たい部位の境界がその物体の表面になるのです。

Romainのアクティブ・パーセプション手法は、ロボットによる未知物体の形状認識を可能にするもので、これは固定カメラではできないことです。このダイナミックなアプローチはPR2の知覚能力を強化し、よりよいマニピュレーションや物体識別、その物体をレンダリングしシミュレーションすることを可能にします。

詳しくは下のビデオやROS.orgにあるmodel assemblerheat equation solverをごらんください。

原文

HARK、テキサイ、オープンソースに関する記事(Singularityhub)

HARKのテキサイロボットへの搭載とオープンソースに関して、Singularityhubに読み応えのある記事が掲載されたので、許可を得て日本語にしました。

HARK! テレプレゼンス・ロボットのための音源分離システム

動物の耳が2つある理由の一つは、音が聞こえてくる場所を特定し、まわりの雑音からその音だけに集中させることにあります。ほとんどのテレプレゼンスロボットはマイクを1つしか持たないので、騒がしい部屋で異なる音を分離する能力が奪われてしまっています。京都大学の奥乃博教授とホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンのシニア・リサーチャー、中臺一博氏はそこに着眼しました。彼らは複数のマイクを使い、人がたくさんいる部屋で異なる音を分離し、音の位置を特定し、テレプレゼンスロボットのリモートユーザーが聞きたい音のチャンネルだけを選ぶことを可能にする、HARK(Honda…Audition for Robots with Kyoto…)というシステムを創り上げました。先日、ホンダ・京都大学のチームがウィローガレージを訪れ、HARKをウィローガレージのオープンソースソフト(ROS)を使ったテレプレゼンス・ロボットであるテキサイに搭載しました。HARKはROS(ロボット・オペレーシング・システム)に統合され公開されました。研究用途においては無償で使えるようになったのです。クールなHARK-テキサイのデモを下のビデオで見ることができます。

テキサイはオープンソースの手法を用いたロバストなテレプレゼンス・ロボットのプラットフォームとして、すでにかなりの感動を与えてくれています。テキサイのリモートユーザーは、テレカンファレンスができるというだけでなく、もっとすごいこと -- ロボットを使ってその空間を探検し、オフィスにいる人たちと自然な形で話しやミーティングができるのです。そしてHARKが加わったことで、人で混み合った場所でテキサイに誰かと一対一で話しをさせられるようになり、テキサイがどこにでもいける能力がさらに向上しました。これは、テレプレゼンスであれ他のものであれ、人間と一緒の空間でともに何かを行うことができる完全に統合されたロボットへ向けての、新たなステップなのです。


このビデオでは、HARKチームがシステムの重要な特徴について説明しています。0:38に、人々が集まって話しをして(そのうち一人は別のテキサイで参加)いる状況で、各人の声を別々のチャンネルに分離させる方法を紹介しています。1:03近くでは、HARKがテキサイに取り付けられた8つのマイクの音源の位置をいかに特定させるかがわかります。そしてこれらをもとにした、極めつけとも言えるデモが、1:21にあります。複数の人が話し、音楽も流れている場所で、テキサイのユーザーがただ一人の声(1から10まで数えているTakeshi Mizumotoさん)だけに集中して聞けるように、HARKが必要のない他の音を選びだし音を消すのです。

音源分離の技術自体は新しいものではありません。奥乃教授と中臺氏は10年以上前にロボット聴覚の共同開発プロジェクトを始めました。2000年に最初の論文を発表してからいくつかの技術的な進展がありましたが、たぶん、ロボット聴覚システムとHARKの最も大きな違いは、HARKがオープンソースであるということです。(ある意味で、と言った方がいいかもしれませんが。)HARKのコードは公開され、ROSに統合されていてます。研究目的には無償、商用目的の応用はライセンス供与により可能になっています。

オープンソースのテクノロジーに強く賛同し、支持している者として、HARKがこのような完全にではないオープンソースの形を選択したことに興味を覚えます。誰でもが無償でコードを使用、改良、構築できるなら研究は急速に進みます。しかし、HARKを使って商用に耐えうるアプリケーションが生まれれば、ホンダ・京都大学の研究開発費を回収できる可能性があるのです。私が知る限り、これは研究用/商用ライセンスによるオープンソースの初めての例ではありません。もしかしたらこのモデルは、オープンな研究を奨励したいが投資についても満足した結果を得たいという人々、またはその逆の立場の人々に対しての妥協策になりうるかもしれないと思います。

今のところはまだ、テキサイへのHARKの統合は、オープンソースのコードやプラットフォームの共有がロボットの研究をいかに加速させるかという新たな一例、と言えるでしょう。ウィローガレージの新しいプロジェクトを知るたびにそのことについて話すのが私の大きな楽しみになっています。そして毎回、その通りだ、だと思うのです。情報をオープンに交換しあうことは、科学を前進させるエンジンにとってのニトロ(亜酸化窒素)みたいなものです。もし私たちがSingularity(シンギュラリティー)に向けてより早く前進していきたいのであれば、こういうオープンなプログラムを科学コミュニティ全体に広げていくことが本当に必要だと思います。

[ビデオのクレジット: Willow Garage]

Aaron Saenz 原文

TimmyよりSingularityhub
日本語訳への快諾、どうもありがとうございました。

ICRAのビデオ PR2とたくさんのロボット達


米国西海岸時間 May 12, 2010

ICRA2010ではPR2にたくさんのロボットの友達ができました。上の短いビデオの中に、PR2、KUKAのLWR(Light Weight Robot)、BarrettのWAMアーム、アルデバランのNaoMeka RoboticsCare-O-bot 3、ボン大学のDynamaid、コブレンツ・ランダウ大学のhomerなど、たくさんのロボットが映っています。どうぞお楽しみください。

原文

2010年5月11日火曜日

楽しかったICRA 写真とワークショップの報告

Care-O-bot 3 and PR2 shake hands

米国西海岸時間 May 11, 2010

Bonn's Dynamaid Alaska Train Kuka LWR Aldebaran Nao PR2 Manipulation Demo Schunk LWA Segway RMP Barrett WAM Arm

先週のICRAでは会場を回っていろいろ見聞きし、また私たちのブースに立ち寄ってくださったみなさんとお会いできて、たいへん楽しい時間が過ごせました。 ROSを使ったロボットがどんどん増え始めていることを知り、またいつもROSユーザーのML ros-usersでメールをやりとりしている何人かの方々の名前と顔が一致したのも嬉しかったです。私たちはPR2ロボットを3台持っていき、ブースでデモを行いました。テキサイも持っていったので、メンロパーク(ウィローガレージがある市の名前)のオフィスから社員が操作して、時々展示会場を動き回っていました。なんとか時間をやりくりしてブースから離れ写真を撮ってきましたので、ぜひギャラリーをごらんください。

ICRAではたくさんのワークショップのオーガナイズをお手伝いしたので、参加者のみなさんと交流することができたのも素晴らしかったです。約60名の方がROSチュートリアルに参加しました。希望者のみなさんはその日はずっと、実際にPR2を使ってテーブル上の物体を自律的に持ってくる、というデモを行うことができました。移動マニピュレーションのワークショップには約100名が参加し、研究の方向性について幅広く活発な意見交換が行われました。また移動マニピュレーションにおける三次元認識とモデリングのための最善の方法には約80名が参加し、三次元認識とモデリングに関する詳細なプレゼンテーションと掘り下げた議論が行われました。

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