2010年12月15日水曜日

PR2ロボット研究コミュニティが、アジア・欧州・北米地域で拡大

2010年12月15日の記者発表(原文)の和訳です。


Willow Garage社「PR2ロボット研究コミュニティが、アジア・欧州・北米地域で拡大」

サムソン電子、仏国立科学研究センター(LAAS)、
ワシントン大学、ジョージ・ワシントン大学がPR2ロボットを購入


2010年12月15日(米国カリフォルニア州メンロパーク市) – Willow Garage社は、PR2ロボットを用いた研究コミュニティが、世界の16の研究機関に拡大したと発表した。今までは、家庭や事業所向けのパーソナル・ロボットのアプリケーションのデザインや実験を開始する前に、研究者たちは、ロボットのハードと付随するソフトウェアを自分たちだけで構築することに多大な労力と時間を要していましたが、以下の4つの先鋭的な研究機関の研究者やエンジニア達は、、PR2ロボットの購入により、まだ開発されていないパーソナル・ロボット向けのイノベーションや可能性を、即座に研究し試すことが可能となりました。

  • 仏国立科学研究センターLAAS研究所(フランス・トゥールーズ市)
  • ジョージ・ワシントン大学(ワシントン市)
  • サムソン電子(韓国・水原市)
  • ワシントン大学(シアトル市)  
Willow Garage社では、ロボット研究者が、研究成果を共有しあいながら効率よく、さまざまな応用を開発できる環境やハードウェアとソフトウェアを提供することにより、パーソナル・ロボットの研究開発に大きな前進を与えるような基盤を築くことが、主要なゴールとなっています。多くのユーザーを有するPR2ボット・プラットフォームとロボットOS(ROS)の両方を用いることにより、箱から取り出してすぐにでも、技術革新や研究開発の課題にすぐに取り組むことができます。

PR2は、本年5月に、120を超える応募の中から選ばれた11の最先端の研究機関に無償で提供されました。この9月、PR2ロボットの販売を開始。 

Willow Garage社CEO兼社長スティーブ・カズンは、「PR2の販売が開始してから短期間のうちに、PR2ロボットが3大陸に4台出荷できたことを誇りに思っています。また、PR2コミュニティが、あっという間に成長していることに感銘を受け、今後、新たに加わった4つの研究機関で、どのような研究や新しい応用開発が生まれてくるか、成果を楽しみにしています。」と語っています。

1台めのPR2は、サムソン電子(韓国・水原市)の本社研究所に、既に届いています。世界最大のエレクトロニクス企業であるサムソン電子は、PR2を用いて、今までの自社のロボット研究の成果をさらに発展させるために、PR2を購入しました。韓国は、世界でもIT技術がもっとも進んだ国のひとつで、「2020年までに、1家に1台のロボット」の夢を実現しようと、パーソナル・ロボット産業の発展に、政府が力を入れています。

サムソン電子社ロボット研究グループの主任研究員は、「PR2コミュニティのメンバーが、短期間で数多くのアプリケーションを開発していることに驚きました。企業内研究のために、現在、購入できるロボット研究プラットフォームとしては、PR2がベストだと感じました。」と述べ、Willow Garage社に数日間滞在したソフトウェア開発担当の主任研究員は、「ROSは、可視化ツール、データのログ化ツール、コードの公開や共有の簡単さなど多くの利点を持っています。そして、非常に重要なポイントとして、当社が長い間築いてきたソフトウェア資産と共存し、それらをさらに発展させる可能性を秘めていることです。また、PR2とROSは、密に統合されているため、他の研究所で開発された最先端の研究やコードを簡単に試すことができることも、大変に魅力的です。PR2は、ウェブ上の説明やチュートリアルもよくできているので、ロボットの頭や腕を動かしたり、移動させたりするコードを、1日もかからずに自分達だけで書くことができました。」と述べています。 

2台めのPR2は、ワシントン大学(ワシントン州シアトル市)工学部情報工学・電気工学科のジョシュア・スミス助教授と研究室員に、11月2日に届きました。スミス助教授は、インテル研究所(シアトル)における6年間の研究の中で、IEEE RFID 2009の最優秀論文賞などを取得、この冬より、同大学の助教授となりました。

スミス助教授は、「以前は、ロボット研究を行う前に、ハードウェアもソフトウェアも自分達だけで創りあげなければいけなかった立場にいましたので、今回、有用なアプリケーション開発やイノベーションのための開発に、今すぐ着手できることを、心の底より感謝しています。また、ワシントン大学にとっても、世界中に情熱的なロボット研究仲間のコミュニティが、PR2とROS両方に存在している意義は大きく、私たちもコミュニティの一員として、真摯にコミュニティに貢献し、謙虚に学んでまいります。」と語っています。

3台めのPR2は、ヨーロッパ、フランスの国立科学研究センターLAAS研究所に向かっています。LAAS-CNRSは、フランス南部トゥールーズ大学と提携するフランス国立科学研究センターの研究ユニットの一つです。PR2ロボットを用いた研究は、移動ロボット・制御システム・ロボット協調・タスクや動作プランニング・パーソナルロボット・人とロボットのインタラクションなどの研究に携わってきたロボット・AI研究部門長のラシッド・アラミ博士が担当します。PR2を用いて、高齢者向けの家事など、人を支援するための環境インテリジェンス・システムの中の、高位なインタラクションや認知機能の開発を進めます。また、環境インテリジェンスの開発を目的としたADREAMプログラムの新しい実験用ハウス(建築中)で、インタラクティブなロボットの一つとして利用される予定です。

アラミ博士は、「LAAS-CNRSがPR2を購入した理由は、現在、購入可能なロボットの中で、他と比べて突出した技術的特性を有していることにあります。PR2は、パーソナル・ロボット研究のためのすべての要素を盛り込んだ唯一のプラットフォームです。特に、パーソナル・ロボットによる人々へのサポートの研究を念頭に設計され作られています。ロボットの持つ認識や作業能力の高さに加えWillow Garage社が、世界中の最も著名なロボット研究機関がコミュニティの中で開発した多岐にわたる高品質のコードやライブラリーへのアクセスを提供していることにも、大きな期待感をいだいています。」と述べ、LAAS-CNRSの事務局長アラン・フィリポゥイクスは、「基本ソフトの開発やロボットの細かな組立や設定などに多大なリソースを使わなければいけなかったが、PR2によって、研究者達が今すぐに研究に飛び込ます!」と喜びの言葉を加えた。

首都ワシントン市にあるジョージ・ワシントン大学情報工学部のバン・ドラムライト助教授は、もっとも新しいPR2のオーナーになりました。ドラムライト助教授は、動的なロボット・シミュレーション、動作プランニング、障害物回避などのアルゴリズムの進化を用いて、人々の職務上の業務を複数のロボットが自律的に作業する方法を解明することを研究の主テーマとしています。

「ジョージ・ワシントン大学内の移動マニピュレーター研究の基盤を築くにあたって、ロボット研究に要される膨大な計算能力を備え、堅牢で信頼性の高いハードウェア・プラットフォームを探していました。PR2は、そのまま研究をスタートできるプラットフォームであるため、私たちは、新しい技術や応用の研究に集中することができます。また、シミュレーターを筆頭として、PR2のソフトウェア・ツールは、私たちの研究努力にいまだかつてないほどの研究効率の向上をもたらします。PR2は、世界中の多数の研究者に使われているROSを利用しているので、多くの研究者が既に開発したコードを再利用し、その上に自分たちの開発を行えます。また、私たちも自分達の研究成果を積極的にコードとして公開し、ほかの研究者の方々にどんどん使ってもらいたいです。」とドラムライト助教授は、述べています。



Willow Garageについて
Willow Garage社は、シリコンバレーにて、ロボットの企画と開発、オープンソースのロボットOSの開発、パーソナル・ロボットに向けたオープンソース・コミュニティの発展を目的として貢献していくことに主眼をおいた企業です。PR2(パーソナル・ロボット2)という研究用ハードウェア・プラットフォームとオープンソースのソフトウェア・プラットフォームROS(ロボットOS)を開発しました。ROSは、BSDライセンスで提供され、誰でも、無償で利用も改変もでき、商用目的の利用や改変も無料で提供されています。ロボット分野の技術のイノベーションを促進し、ロボット技術が、社会にポジティブなインパクトを与え、その導入が公正でオープンに行われていくことを主目標としています。当社は、ロボットのハードウェアとソフトウェア技術の両分野の発展において、世界中の研究所や企業と、アドバイザー・協力者・顧客・パートナーとして協業しています。また、自分たちだけでは、オープンソース化するリソースを有さない研究者や技術者に資金や支援を提供しています。さらなる情報は、弊社のウェブサイト(日本語)をご参照いただき、最新ニュースは、@willowgarage (英語)や @willowgarageja (日本語)のツイッターをフォローしてください。

※ 記者発表の原文(英語)は、こちらよりダウンロードできます。

PR2コミュニティー - 16の研究機関(参考情報)
(米国)
・ボッシュ研究所:新しいセンサシステムの開発と参加機関への提供
・ジョージア工科大学:高齢者支援ロボットの研究
・マサチューセッツ工科大学:人と共存環境での安全な移動や自然言語による対話など
・スタンフォード大学:物体の認識やテーブルの片づけなど
・カリフォルニア大学バークレー校:衣服の洗濯からたたむ作業まで一貫作業へのトライ
・ペンシルベニア大学:動的障害物があるなかでの行動計画など
・南カリフォルニア大学:模倣によるスキルの習得から各種ライブラリの構築など
・ワシントン大学
・ジョージ・ワシントン大学
・Willow Garage
(欧州)
・フライブルク大学(ドイツ):片づけロボットの開発
・ミュンヘン工科大学(ドイツ):複雑なキッチン作業を行うための認識したデータの抽象化・意味づけ
・ルーヴァン・カトリック大学(ベルギー):各種ツールやライブラリの開発、人とPR2との協働作業など
・仏国立科学研究センターLAAS研究所(LAAS-CNRS)
(アジア)
・東京大学情報システム工学研究室:日常生活を支援するロボットの開発、複数ロボットによる協調作業
・サムスン電子

広報連絡先(英語):
Tim Smith
Element PR
415-350-3019
Willow Garage社プレスルーム: http://www.willowgarage.com/pages/about-us/press-room

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